1.会社法に規定のない「執行役員」の概念と企業における実際の使用について
今日、会社実務でよく使われるようになっている執行役員ということについて、じつは「執行役員」という言葉は会社法規定にはない。
2.執行役員の概念は米国企業におけるOFFICER制度に触発されている
アメリカで展開しているオフィサー制度では、代表取締役社長の下で、各分野や部門の仕事を責任持ってやるようなシステムになっており、それを真似たのである。
業務執行の決定を取締役会が行うときにちょっと少人数にすることよって集中的に議論をして深めていく事が可能になる。決定事項を代表取締役が各部門のオフィサーに任せることで経営効率を上げるわけである。
3.執行役員制度の導入は、財務担当のCFOや情報担当のCIOなど
次のように、分野ごとに担当部門長を置くことで意思決定の効率化を図るのが目的である。例えば、
最高経営責任者(CEO) chief executive officer
最高執行責任者(COO) chief operating officer
最高財務責任者(CFO) chief financial officer
最高技術責任者(CTO) chief technology officer
最高情報責任者(CIO) chief information officer
なお、会社法には紛らわしい「執行役」の規定がある。指名委員会等設置会社で設置される。
(執行役の選任等)
会社法第四〇二条
① 指名委員会等設置会社には、一人又は二人以上の執行役を置かなければならない。
② 執行役は、取締役会の決議によって選任する。
③ 指名委員会等設置会社と執行役との関係は、委任に関する規定に従う。
④ 第三百三十一条第一項〈取締役の資格等〉及び第三百三十一条の二〈同前〉の規定は、執行役について準用する。
⑤ 株式会社は、執行役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。ただし、公開会社でない指名委員会等設置会社については、この限りでない。
⑥ 執行役は、取締役を兼ねることができる。
4.これらの執行役員は、特定の分野を管理し、経営トップに業務報告し、集中的かつ効率的な経営が可能となる
執行役員は、執行役と違って取締役が兼ねることもなく、取締役の役員としての責任規程の適用がなく、あくまで従業員と位置づけに注意する必要がある。