1.改正公益通報者保護法(令和4年6月1日施行)

第一章 総則

(目的)
第一条 

この法律は、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効及び不利益な取扱いの禁止等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置等を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。

(定義)
第二条 

① この法律において「公益通報」とは、次の各号に掲げる者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、当該各号に定める事業者(法人その他の団体及び事業を行う個人をいう。以下同じ。)(以下「役務提供先」という。)又は当該役務提供先の事業に従事する場合におけるその役員(法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法令(法律及び法律に基づく命令をいう。以下同じ。)の規定に基づき法人の経営に従事している者(会計監査人を除く。)をいう。以下同じ。)、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該役務提供先若しくは当該役務提供先があらかじめ定めた者(以下「役務提供先等」という。)、当該通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関若しくは当該行政機関があらかじめ定めた者(次条第二号及び第六条第二号において「行政機関等」という。)又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受け又は受けるおそれがある者を含み、当該役務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除く。次条第三号及び第六条第三号において同じ。)に通報することをいう。
一 労働者(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者をいう。以下同じ。)又は労働者であった者 当該労働者又は労働者であった者を自ら使用し、又は当該通報の日前一年以内に自ら使用していた事業者(次号に定める事業者を除く。)

二 派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。第四条において「労働者派遣法」という。)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。以下同じ。)又は派遣労働者であった者 当該派遣労働者又は派遣労働者であった者に係る労働者派遣(同条第一号に規定する労働者派遣をいう。第四条及び第五条第二項において同じ。)の役務の提供を受け、又は当該通報の日前一年以内に受けていた事業者

三 前二号に定める事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行い、又は行っていた場合において、当該事業に従事し、又は当該通報の日前一年以内に従事していた労働者若しくは労働者であった者又は派遣労働者若しくは派遣労働者であった者 当該他の事業者

四 役員 次に掲げる事業者
イ 当該役員に職務を行わせる事業者

ロ イに掲げる事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行う場合において、当該役員が当該事業に従事するときにおける当該他の事業者

② この法律において「公益通報者」とは、公益通報をした者をいう。

③ この法律において「通報対象事実」とは、次の各号のいずれかの事実をいう。
一 この法律及び個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律として別表に掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。以下この項において同じ。)に規定する罪の犯罪行為の事実又はこの法律及び同表に掲げる法律に規定する過料の理由とされている事実

二 別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が同表に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)

④ この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
一 内閣府、宮内庁、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員

二 地方公共団体の機関(議会を除く。)

第二章 公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効及び不利益な取扱いの禁止等

(解雇の無効)
第三条
 
労働者である公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として前条第一項第一号に定める事業者(当該労働者を自ら使用するものに限る。第九条において同じ。)が行った解雇は、無効とする。
一 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合 当該役務提供先等に対する公益通報

二 通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合又は通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると思料し、かつ、次に掲げる事項を記載した書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。次号ホにおいて同じ。)を提出する場合 当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関等に対する公益通報
イ 公益通報者の氏名又は名称及び住所又は居所

ロ 当該通報対象事実の内容

ハ 当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由

ニ 当該通報対象事実について法令に基づく措置その他適当な措置がとられるべきと思料する理由

三 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、次のいずれかに該当する場合 その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報
イ 前二号に定める公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合

ロ 第一号に定める公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合

ハ 第一号に定める公益通報をすれば、役務提供先が、当該公益通報者について知り得た事項を、当該公益通報者を特定させるものであることを知りながら、正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当の理由がある場合

ニ 役務提供先から前二号に定める公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合

ホ 書面により第一号に定める公益通報をした日から二十日を経過しても、当該通報対象事実について、当該役務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該役務提供先等が正当な理由がなくて調査を行わない場合

ヘ 個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。以下このヘにおいて同じ。)の財産に対する損害(回復することができない損害又は著しく多数の個人における多額の損害であって、通報対象事実を直接の原因とするものに限る。第六条第二号ロ及び第三号ロにおいて同じ。)が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合

(労働者派遣契約の解除の無効)
第四条 

第二条第一項第二号に定める事業者(当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けるものに限る。以下この条及び次条第二項において同じ。)の指揮命令の下に労働する派遣労働者である公益通報者が前条各号に定める公益通報をしたことを理由として第二条第一項第二号に定める事業者が行った労働者派遣契約(労働者派遣法第二十六条第一項に規定する労働者派遣契約をいう。)の解除は、無効とする。

(不利益取扱いの禁止)
第五条
 
① 第三条に規定するもののほか、第二条第一項第一号に定める事業者は、その使用し、又は使用していた公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給、退職金の不支給その他不利益な取扱いをしてはならない。

② 前条に規定するもののほか、第二条第一項第二号に定める事業者は、その指揮命令の下に労働する派遣労働者である公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、当該公益通報者に係る労働者派遣をする事業者に派遣労働者の交代を求めることその他不利益な取扱いをしてはならない。

③ 第二条第一項第四号に定める事業者(同号イに掲げる事業者に限る。次条及び第八条第四項において同じ。)は、その職務を行わせ、又は行わせていた公益通報者が次条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、報酬の減額その他不利益な取扱い(解任を除く。)をしてはならない。

(役員を解任された場合の損害賠償請求)
第六条
 
役員である公益通報者は、次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として第二条第一項第四号に定める事業者から解任された場合には、当該事業者に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
一 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合 当該役務提供先等に対する公益通報

二 次のいずれかに該当する場合 当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関等に対する公益通報
イ 調査是正措置(善良な管理者と同一の注意をもって行う、通報対象事実の調査及びその是正のために必要な措置をいう。次号イにおいて同じ。)をとることに努めたにもかかわらず、なお当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合

ロ 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。)の財産に対する損害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合

三 次のいずれかに該当する場合 その者に対し通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報
イ 調査是正措置をとることに努めたにもかかわらず、なお当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、次のいずれかに該当する場合
⑴ 前二号に定める公益通報をすれば解任、報酬の減額その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合

⑵ 第一号に定める公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合

⑶ 役務提供先から前二号に定める公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合

ロ 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。)の財産に対する損害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合

(損害賠償の制限)
第七条 

第二条第一項各号に定める事業者は、第三条各号及び前条各号に定める公益通報によって損害を受けたことを理由として、当該公益通報をした公益通報者に対して、賠償を請求することができない。

(解釈規定)
第八条 

① 第三条から前条までの規定は、通報対象事実に係る通報をしたことを理由として第二条第一項各号に掲げる者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることを禁止する他の法令の規定の適用を妨げるものではない。

② 第三条の規定は、労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十六条の規定の適用を妨げるものではない。

③ 第五条第一項の規定は、労働契約法第十四条及び第十五条の規定の適用を妨げるものではない。

④ 第六条の規定は、通報対象事実に係る通報をしたことを理由として第二条第一項第四号に定める事業者から役員を解任された者が当該事業者に対し解任によって生じた損害の賠償を請求することができる旨の他の法令の規定の適用を妨げるものではない。

(一般職の国家公務員等に対する取扱い)
第九条
 
第三条各号に定める公益通報をしたことを理由とする一般職の国家公務員、裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)の適用を受ける裁判所職員、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)の適用を受ける国会職員、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第五項に規定する隊員及び一般職の地方公務員(以下この条において「一般職の国家公務員等」という。)に対する免職その他不利益な取扱いの禁止については、第三条から第五条までの規定にかかわらず、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号。裁判所職員臨時措置法において準用する場合を含む。)、国会職員法、自衛隊法及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の定めるところによる。この場合において、第二条第一項第一号に定める事業者は、第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として一般職の国家公務員等に対して免職その他不利益な取扱いがされることのないよう、これらの法律の規定を適用しなければならない。

(他人の正当な利益等の尊重)
第一〇条
 
第三条各号及び第六条各号に定める公益通報をする者は、他人の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない。

第三章 事業者がとるべき措置等

(事業者がとるべき措置)
第一一条 

① 事業者は、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報を受け、並びに当該公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務(次条において「公益通報対応業務」という。)に従事する者(次条において「公益通報対応業務従事者」という。)を定めなければならない。

② 事業者は、前項に定めるもののほか、公益通報者の保護を図るとともに、公益通報の内容の活用により国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない。

③ 常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者については、第一項中「定めなければ」とあるのは「定めるように努めなければ」と、前項中「とらなければ」とあるのは「とるように努めなければ」とする。

④ 内閣総理大臣は、第一項及び第二項(これらの規定を前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において単に「指針」という。)を定めるものとする。

⑤ 内閣総理大臣は、指針を定めようとするときは、あらかじめ、消費者委員会の意見を聴かなければならない。

⑥ 内閣総理大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

⑦ 前二項の規定は、指針の変更について準用する。

(公益通報対応業務従事者の義務)
第一二条 

公益通報対応業務従事者又は公益通報対応業務従事者であった者は、正当な理由がなく、その公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるものを漏らしてはならない。

(行政機関がとるべき措置)
第一三条 

① 通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関は、公益通報者から第三条第二号及び第六条第二号に定める公益通報をされた場合には、必要な調査を行い、当該公益通報に係る通報対象事実があると認めるときは、法令に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。

② 通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関(第二条第四項第一号に規定する職員を除く。)は、前項に規定する措置の適切な実施を図るため、第三条第二号及び第六条第二号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない。

③ 第一項の公益通報が第二条第三項第一号に掲げる犯罪行為の事実を内容とする場合における当該犯罪の捜査及び公訴については、前二項の規定にかかわらず、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の定めるところによる。

(教示)
第一四条
 
前条第一項の公益通報が誤って当該公益通報に係る通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有しない行政機関に対してされたときは、当該行政機関は、当該公益通報者に対し、当該公益通報に係る通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関を教示しなければならない。

第四章 雑則

(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)
第一五条 

内閣総理大臣は、第十一条第一項及び第二項(これらの規定を同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。

(公表)
第一六条 

内閣総理大臣は、第十一条第一項及び第二項の規定に違反している事業者に対し、前条の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

(関係行政機関への照会等)
第一七条
 
内閣総理大臣は、この法律の規定に基づく事務に関し、関係行政機関に対し、照会し、又は協力を求めることができる。

(内閣総理大臣による情報の収集、整理及び提供)
第一八条
 
内閣総理大臣は、公益通報及び公益通報者の状況に関する情報その他その普及が公益通報者の保護及び公益通報の内容の活用による国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守に資することとなる情報の収集、整理及び提供に努めなければならない。

(権限の委任)
第一九条 

内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。

(適用除外)
第二〇条
 
第十五条及び第十六条の規定は、国及び地方公共団体に適用しない。

第五章 罰則

第二一条 
第十二条の規定に違反して同条に規定する事項を漏らした者は、三十万円以下の罰金に処する。

第二二条 
第十五条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。

2.公益通報者保護法別表第八号の法律を定める政令(抄)

公益通報者保護法別表第八号の政令で定める法律は、次のとおりとする。
一 爆発物取締罰則(明治十七年太政官布告第三十二号)
二 削除
三 二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律(明治三十三年法律第三十三号)

四百六十三 プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(令和三年法律第六十号)
四百六十四 性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(令和四年法律第七十八号)

附 則 (令和四年七月一日政令第二四四号)
この政令は、性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(令和四年法律第七十八号)附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日から施行する。

以上の通り、約500本の法律の犯罪行為・過料対象行為が対象になっている。(枝分かれも多いので)。

3.公益通報者保護法第十九条の規定により消費者庁長官に委任されない権限を定める政令

内閣は、公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号)第十九条の規定に基づき、この政令を制定する。
公益通報者保護法第十九条の政令で定める権限は、同法第十一条第四項の規定並びに同条第五項及び第六項(これらの規定を同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による権限とする。

4.公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(令和3年8月20日内閣府告示第118号)

第1 はじめに

 この指針は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)第11条第4項の規定に基づき、同条第1項に規定する公益通報対応業務従事者の定め及び同条第2項に規定する事業者内部における公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものである。

第2 用語の説明

 「公益通報」とは、法第2条第1項に定める「公益通報」をいい、処分等の権限を有する行政機関やその他外部への通報が公益通報となる場合も含む。

 「公益通報者」とは、法第2条第2項に定める「公益通報者」をいい、公益通報をした者をいう。

 「内部公益通報」とは、法第3条第1号及び第6条第1号に定める公益通報をいい、通報窓口への通報が公益通報となる場合だけではなく、上司等への報告が公益通報となる場合も含む。

 「事業者」とは、法第2条第1項に定める「事業者」をいい、営利の有無を問わず、一定の目的をもってなされる同種の行為の反復継続的遂行を行う法人その他の団体及び事業を行う個人であり、法人格を有しない団体、国・地方公共団体などの公法人も含まれる。

 「労働者等」とは、法第2条第1項に定める「労働者」及び「派遣労働者」をいい、その者の同項に定める「役務提供先等」への通報が内部公益通報となり得る者をいう。

 「役員」とは、法第2条第1項に定める「役員」をいい、その者の同項に定める「役務提供先等」への通報が内部公益通報となり得る者をいう。

 「退職者」とは、労働者等であった者をいい、その者の法第2条第1項に定める「役務提供先等」への通報が内部公益通報となり得る者をいう。

 「労働者及び役員等」とは、労働者等及び役員のほか、法第2条第1項に定める「代理人その他の者」をいう。

 「通報対象事実」とは、法第2条第3項に定める「通報対象事実」をいう。

 「公益通報対応業務」とは、法第11条第1項に定める「公益通報対応業務」をいい、内部公益通報を受け、並びに当該内部公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務をいう。

 「従事者」とは、法第11条第1項に定める「公益通報対応業務従事者」をいう。

 「内部公益通報対応体制」とは、法第11条第2項に定める、事業者が内部公益通報に応じ、適切に対応するために整備する体制をいう。

 「内部公益通報受付窓口」とは、内部公益通報を部門横断的に受け付ける窓口をいう。

 「不利益な取扱い」とは、公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して行う解雇その他不利益な取扱いをいう。

 「範囲外共有」とは、公益通報者を特定させる事項を必要最小限の範囲を超えて共有する行為をいう。

 「通報者の探索」とは、公益通報者を特定しようとする行為をいう。

第3 従事者の定め(法第11条第1項関係)

1 事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者を、従事者として定めなければならない。

2 事業者は、従事者を定める際には、書面により指定をするなど、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法により定めなければならない。

第4 内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置(法第11条第2項関係)

1 事業者は、部門横断的な公益通報対応業務を行う体制の整備として、次の措置をとらなければならない。

(1) 内部公益通報受付窓口の設置等

  内部公益通報受付窓口を設置し、当該窓口に寄せられる内部公益通報を受け、調査をし、是正に必要な措置をとる部署及び責任者を明確に定める。

(2) 組織の長その他幹部からの独立性の確保に関する措置

  内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に係る公益通報対応業務に関して、組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとる。

(3) 公益通報対応業務の実施に関する措置

  内部公益通報受付窓口において内部公益通報を受け付け、正当な理由がある場合を除いて、必要な調査を実施する。そして、当該調査の結果、通報対象事実に係る法令違反行為が明らかになった場合には、速やかに是正に必要な措置をとる。また、是正に必要な措置をとった後、当該措置が適切に機能しているかを確認し、適切に機能していない場合には、改めて是正に必要な措置をとる。

(4) 公益通報対応業務における利益相反の排除に関する措置

  内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関し行われる公益通報対応業務について、事案に関係する者を公益通報対応業務に関与させない措置をとる。

2 事業者は、公益通報者を保護する体制の整備として、次の措置をとらなければならない。

(1) 不利益な取扱いの防止に関する措置

 イ 事業者の労働者及び役員等が不利益な取扱いを行うことを防ぐための措置をとるとともに、公益通報者が不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置をとり、不利益な取扱いを把握した場合には、適切な救済・回復の措置をとる。

 ロ 不利益な取扱いが行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとる。

(2) 範囲外共有等の防止に関する措置

 イ 事業者の労働者及び役員等が範囲外共有を行うことを防ぐための措置をとり、範囲外共有が行われた場合には、適切な救済・回復の措置をとる。

 ロ 事業者の労働者及び役員等が、公益通報者を特定した上でなければ必要性の高い調査が実施できないなどのやむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐための措置をとる。

 ハ 範囲外共有や通報者の探索が行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとる。

3 事業者は、内部公益通報対応体制を実効的に機能させるための措置として、次の措置をとらなければならない。

(1) 労働者等及び役員並びに退職者に対する教育・周知に関する措置

 イ 法及び内部公益通報対応体制について、労働者等及び役員並びに退職者に対して教育・周知を行う。また、従事者に対しては、公益通報者を特定させる事項の取扱いについて、特に十分に教育を行う。

 ロ 労働者等及び役員並びに退職者から寄せられる、内部公益通報対応体制の仕組みや不利益な取扱いに関する質問・相談に対応する。

(2) 是正措置等の通知に関する措置

 書面により内部公益通報を受けた場合において、当該内部公益通報に係る通報対象事実の中止その他是正に必要な措置をとったときはその旨を、当該内部公益通報に係る通報対象事実がないときはその旨を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、当該内部公益通報を行った者に対し、速やかに通知する。

(3) 記録の保管、見直し・改善、運用実績の労働者等及び役員への開示に関する措置

 イ 内部公益通報への対応に関する記録を作成し、適切な期間保管する。

 ロ 内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検を実施し、必要に応じて内部公益通報対応体制の改善を行う。

 ハ 内部公益通報受付窓口に寄せられた内部公益通報に関する運用実績の概要を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において労働者等及び役員に開示する。

(4) 内部規程の策定及び運用に関する措置

 この指針において求められる事項について、内部規程において定め、また、当該規程の定めに従って運用する。