中小企業の内部統制・コンプライアンス義務を宣言した判決(東京地判平21.12.21)と内部統制4類型

1.「中小企業も、業務の適正が確保されるように配慮すべき義務がある(サンユートレックス事件判決)」

(1)大会社ではない取締役会非設置会社についての「サンユートレックス事件判決」(東京地判平21.12.21)

大会社以外の株式会社の取締役は、内部統制システムの整備に関する事項を決定すべき義務までは負わないとしても(会社法348条4項)、株式会社の業務の適正が確保されるよう職務上配慮すべき義務、ひいては、使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するよう職務上配慮すべき義務を負っているものと解すべきである。

なぜなら、事柄の性質上、大会社以外の株式会社においても、株式会社の業務の適正が確保され、使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することが確保されなければならないということは、当然の要請というべきだからである。

(2)内部統制の法的根拠

大会社と委員会設置会社は内部統制が義務であるが(会社法348条3項等)、そうでない会社も内部統制のレベルまでは法は要求しないが善管注意義務や忠実義務が委任法理等であるので、コンプライアンス態勢を作るべきとの判決である。

2.内部統制についての会社法の4類型

もっとも、内部統制の内容は改正法も含めて会社法は4つに分けていることに注意しよう。

(1)取締役会の非設置会社(会社法348条第3項四、会社法施行規則98)、

(2)取締役会の設置会社(委員会設置会社を除く)(会社法362条第4項五、施行規則100)、

(3)委員会設置会社(会社法416条第1項一ロホ、施行規則112)

(4)監査等委員会設置会社(会社法399の13第1項一八、施行規則110の4)

また、改正法はグループ企業全体の内部統制を規制しているが、金融商品取引法による財務報告の内部統制はその法の規制である。

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