1.地元金融機関のコンプライアンス
(1)地域密着型の金融機関
3大メガバンクなどではなくて、地域の銀行、例えば信用金庫や信用組合等は高い公共性を有し、地域における協同組織の金融機関として
① 中小零細企業及び勤労者の資金の円滑化に寄与し、
② 組合員の経済的地位の向上に資し、
③ ひいては地域(業域・職域)の各社会の発展に貢献し、地域社会の組合員等の幸せづくりに 奉仕する。
ことを目的としている。
(2)地元金融機関の目指すもの
そこで、この社会的使命と責任を全うする金融機関として、以下の内容が地元金融機関(信用組合等)のコンプライアンスの中心内容になる。
① 信用組合の社会的使命と公共性の自覚と責任
② きめ細かい金融サービス等の提供と地域社会発展への貢献
③ 法令やルールの厳格な遵守と適正な業務運営
④ 反社会的勢力の排除
⑤ 経営の積極的開示とコミュニケーションの充実
2.金融機関の不祥事は減っていない
(1)みずほ銀行 平成18年4月25日 金融庁より改善命令発令
平成18年2月8日、みずほ銀行新宿西口支店お客さまサービス2課の元課長(51・業務監査部調査役)を業務上横領の疑いで逮捕。
同人は、17年2月~3月、同支店の個人顧客628人の名前、住所、電話番号、生年月日、口座番号などを暴力団系の企業事務所に持ち込んだ疑い。
流出した顧客情報は、法人・事業主の623社の社名、住所、電話番号、設立年月など合わせて1251件が流出。
同行は17年12月に、顧客情報が外部流出しているとの連絡を警察から受け、行員が関与している懸念が浮上し、2月1日付で刑事告訴。
同行は「銀行として決してあってはならないこと。警察の捜査に全面的に協力し、事態の解明に努める」としている。
今回の不祥事件は、行員が顧客情報を持ち出し、暴力団系の企業に情報を渡しただけに、同行の情報管理体制の甘さはもちろん「銀行員のモラル欠如」が厳しく指摘されている。
(2)熊本中央信金 平成19年1月19日 九州財務局より改善命令発令
18年8月11日、旧丸島、水俣、佐敷各支店で窓口勤務していた元女性職員(34)が7年8月~18年4月馬での間、店内の端末機を不正操作して顧客の定期預金を解約したり、カードローンの不正引き出しなどで31件、4億9000万円を着服。発覚を免れようと他の口座から補填し、実質被害額は11件、9400万円。
また、ATMに現金を補てんすると見せかけて1400万円を着服。
実質金額は1億8000万円となる。6月に女性客が定期預金が解約済みだったことから発覚。
(3)大津農協(徳島)18年11月4日 詐欺事件
18年11月4日、鳴門警察署は、元販売部長(47)を詐欺容疑で逮捕した。
同人は、平成7年自分の女性親族名義の口座を本人に無断で開設。
「借り入れ申込があり、必要書類をそろえたので470万円振り込んでくれ」と、信用担当の課長を騙し、18年6月9日に同口座に入金させた。
その後、徳島県の定例検査で9月14日、不祥事件が発覚。
同人は翌日から姿を消し、10月18日に懲戒解雇となった。
11月3日、出雲市内で出雲警察署員に発見され、鳴門警察署員に逮捕された。
3.『信用組合』における最近の不祥事
(1)愛知県の豊橋商工信用組合職員が預金約1億1000万円着服(2022年12月16日)
定期預金の解約を依頼されながら、普通預金に入金せずに着服。
(2)大阪市の大同信用組合で職員が8600万円余着服(2022年5月21日)
定期預金の満期継続時に、一部を抜き取る。
(3)高松市の香川県信用組合の職員が約2億6200万円詐取 顧客の運転免許コピー利用なりすまし(2022/01/07)
預かった免許証のコピーなどを悪用して本人名義の預金口座を開設し、消費者ローンから不正に借り入れてだまし取る。
(4)群馬県前橋市のあかぎ信用組合で顧客の預金を無断解約して3700万円着服(2021年6月4日)
届け印の検印を担当する立場を悪用
(5)水戸市本店の茨城県信用組合職員が預金を1508万円着服(2023/01/27)
顧客から預かった定期積金や定期預金の入金処理をせず、着服
(6)福島県郡山市の福島商工信用組合の職員が預金無断解で1億円超着服(2020年1月31日)
顧客計57人の預金を97回にわたって勝手に解約したり引き出し
4.『信用金庫』における最近の不祥事
(1)青森県の青い森信用金庫の職員が着服(2022年12月9日)
窓口で受け付けた顧客から納付される市民税と県民税総額94万余りを着服
(2)富山県の高岡信用金庫で5600万円超着服(2020年12月5日)
顧客の預金を無断で解約するほか、定期積金の掛け金の入金を処理しない
(以下続く)