Fraud Tree は、企業のカネにまつわる不正・不祥事を体系化して、小項目に分類したものである。ハラスメント等の労働上のコンプライアンス違反などは含まないことに注意する必要があろう。網羅的な不祥事体系ではないのである。

1.職業上の不正と濫用の3分類

「汚職」、「資産の不正流用」及び「財務諸表不正 を含む不正な報告」の3種類に分類する。その体系図が下記のものである(職業上の不正と濫用に関する国民への報告書 (日本語版)(Report to the Nations on Occupational Fraud and Abuse) https://www.acfe.jp/upload/RTTN2018_J.pdf一部引用

(1)資産の不正流用(Asset Misappropriation)

組織の資産の窃盗 ・濫用である、 収入を横取り、在庫の窃盗、給与をだまし取る事などである。現金のスキミング、ラーセニー等の手口がある。

(2)不正な報告(Fraudulent Statements)」

読み手を欺く目的で、組織の財務情報を意図的に誤報する。収益の水増し、負債や経費の過小表示などがある。

(3)汚職(Corruption)

組織に対する義務や他人の権利に反して,自分自身や他者の利益を得るために、商取引における自らの影響力を悪用する行為である。キックバックの受領、利益相反行為などがある。利益相反行為(Conflict of Interest)とは、一方の利益になることが他方への不利益になる行為のことを指す。

2.企業の財務不祥事のMECE

企業の財務不祥事をMutually Exclusive and Collectively Exhaustive、つまり「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を確定することが肝要である。重複なく・漏れなく企業の不祥事を取り上げることはリスクマネジメントのリスクアセスメントの第1項目である。財務関係の企業不祥事はFraud Treeがきわめて有益であろう。

3.企業のリスクマネジメント研修

 上記の理論を踏まえたカリキュラムに基づく、企業のリスクマネジメント研修の内容とご依頼は、こちらへ。