令和2年・3年改正「個人情報保護法」令和5年4月1日全面施行「個人情報等の定義・用語の国内統一(1~3条)」全185条

1.個人情報保護法2021改正法における「個人情報」の定義(第2条1項参照)

生存する個人に関する情報であって、次のいずれかに該当するもの

一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。以下同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)

二 個人識別符号が含まれるもの

⇒この定義は、平成27年改正法と同じであるが、容易識別性が国や地方公共団体の個人情報の定義にもなって官民共通となったことで、地方公共団体等では従来より官における個人情報の範囲は狭くなってしまった。直ちに保護の範囲も狭くなったと言えないが、多種多様の個人情報を扱う自治体の現場では、戸惑いが生じることもあろう。例えば、市町村や特別区ではその保有する個人情報は、全住民の情報を含む住民基本台帳情報を筆頭に、国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険、生活保護、身体障害者、精神障害者、知的障害者に係る個人情報、公立小中学校の児童生徒及び保護者等の個人情報など普段国が触れていない個人情報がありその実務的な管理の煩雑さを丁寧に住民対応しながら扱ってきた中で最もふさわしい人格権に基づく個人情報の定義を条例で定めてきたのであり、2000年からの地方分権の育成に反する紋切り型の定義でいいのかは、データ利活用の強調だけで済むのか疑問であろう。

2.個人情報保護法2021改正法における「個人識別符号」の定義(第2条2項参照)

次の各号のいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるもの

一 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの

二 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの

⇒指紋やDNA、基礎年金番号や運転免許書番号などを言うのである。なお、DNA解析はのちに述べるように、著しい技術の進歩でほんの5年ほど前とは全く違うハイレベルになっている。極小の微細な個人の身体の一部又は痕跡で、莫大な個人情報を得る事が出来るようになった。施行令などでは詳細にその内容を記している。

3.個人情報保護法2021改正法におけるその他の定義(第2条3項以下参照)

3この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。

4この法律において個人情報について「本人」とは、個人情報によって識別される特定の個人をいう。

5この法律において「仮名加工情報」とは、次の各号に掲げる個人情報の区分に応じて当該各号に定める措置を講じて他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報をいう。

一 第一項第一号に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること(当該一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。

二 第一項第二号に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。

6この法律において「匿名加工情報」とは、次の各号に掲げる個人情報の区分に応じて当該各号に定める措置を講じて特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたものをいう。

一 第一項第一号に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること(当該一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。

二 第一項第二号に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。

7この法律において「個人関連情報」とは、生存する個人に関する情報であって、個人情報、仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないものをいう。

8この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。

一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関

二 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)

三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)

四 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの

五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの

六 会計検査院

9この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人及び別表第一に掲げる法人をいう。

10この法律において「地方独立行政法人」とは、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。

11この法律において「行政機関等」とは、次に掲げる機関をいう。

一 行政機関

二 地方公共団体の機関(議会を除く。次章、第三章及び第六十九条第二項第三号を除き、以下同じ。)

三 独立行政法人等(別表第二に掲げる法人を除く。第十六条第二項第三号、第六十三条、第七十八条第一項第七号イ及びロ、第八十九条第四項から第六項まで、第百十九条第五項から第七項まで並びに第百二十五条第二項において同じ。)

四 地方独立行政法人(地方独立行政法人法第二十一条第一号に掲げる業務を主たる目的とするもの又は同条第二号若しくは第三号(チに係る部分に限る。)に掲げる業務を目的とするものを除く。第十六条第二項第四号、第六十三条、第七十八条第一項第七号イ及びロ、第八十九条第七項から第九項まで、第百十九条第八項から第十項まで並びに第百二十五条第二項において同じ。)

…………………………………………………………………………………………………………………

(目的)

第一条 この法律は、デジタル社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、個人情報を取り扱う事業者及び行政機関等についてこれらの特性に応じて遵守すべき義務等を定めるとともに、個人情報保護委員会を設置することにより、行政機関等の事務及び事業の適正かつ円滑な運営を図り、並びに個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。

(基本理念)

第三条 個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることに鑑み、その適正な取扱いが図られなければならない。

■目次
第1章 総則
 第1条 目的
 第2条 定義
 第3条 基本理念
第2章 国及び地方公共団体の責務等
 第4条 国の責務
 第5条 地方公共団体の責務
 第6条 法制上の措置等
第3章 個人情報の保護に関する施策等
第1節 個人情報の保護に関する基本方針
 第7条
第2節 国の施策
 第8条 国の機関等が保有する個人情報の保護
 第9条 地方公共団体等への支援
 第10条 苦情処理のための措置
 第11条 個人情報の適正な取扱いを確保するための措置
第3節地方公共団体の施策
 第12条 地方公共団体の機関等が保有する個人情報の保護
 第13条 区域内の事業者等への支援
 第14条 苦情の処理のあっせん等
第4節国及び地方公共団体の協力
 第15条
第4章 個人情報取扱事業者等の義務等
第1節総則
 第16条 定義
第2節 個人情報取扱事業者及び個人関連情報取扱事業者の義務
 第17条 利用目的の特定
第18条利用目的による制限
第19条不適正な利用の禁止
第20条適正な取得
第21条取得に際しての利用目的の通知等
第22条データ内容の正確性の確保等
第23条安全管理措置
第24条従業者の監督
第25条委託先の監督
第26条漏えい等の報告等
第27条第三者提供の制限
第28条外国にある第三者への提供の制限
第29条第三者提供に係る記録の作成等
第30条第三者提供を受ける際の確認等
第31条個人関連情報の第三者提供の制限等
第32条保有個人データに関する事項の公表等
第33条開示
第34条訂正等
第35条利用停止等
第36条理由の説明
第37条開示等の請求等に応じる手続
第38条手数料
第39条事前の請求
第40条個人情報取扱事業者による苦情の処理
第3節仮名加工情報取扱事業者等の義務
第41条仮名加工情報の作成等
第42条仮名加工情報の第三者提供の制限等
第4節匿名加工情報取扱事業者等の義務
第43条匿名加工情報の作成等
第44条匿名加工情報の提供
第45条識別行為の禁止
第46条安全管理措置等
第5節民間団体による個人情報の保護の推進
第47条認定
第48条欠格条項
第49条認定の基準
第50条変更の認定等
第51条廃止の届出
第52条対象事業者
第53条苦情の処理
第54条個人情報保護指針
第55条目的外利用の禁止
第56条名称の使用制限
第6節雑則
第57条適用除外
第58条適用の特例
第59条学術研究機関等の責務
第5章行政機関等の義務等
第1節総則
第60条定義
第2節行政機関等における個人情報等の取扱い
第61条個人情報の保有の制限等
第62条利用目的の明示
第63条不適正な利用の禁止
第64条適正な取得
第65条正確性の確保
第66条安全管理措置
第67条従事者の義務
第68条漏えい等の報告等
第69条利用及び提供の制限
第70条保有個人情報の提供を受ける者に対する措置要求
第71条外国にある第三者への提供の制限
第72条個人関連情報の提供を受ける者に対する措置要求
第73条仮名加工情報の取扱いに係る義務
第3節個人情報ファイル
第74条個人情報ファイルの保有等に関する事前通知
第75条個人情報ファイル簿の作成及び公表
第4節開示、訂正及び利用停止
第1款開示
第76条開示請求権
第77条開示請求の手続
第78条保有個人情報の開示義務
第79条部分開示
第80条裁量的開示
第81条保有個人情報の存否に関する情報
第82条開示請求に対する措置
第83条開示決定等の期限
第84条開示決定等の期限の特例
第85条事案の移送
第86条第三者に対する意見書提出の機会の付与等
第87条開示の実施
第88条他の法令による開示の実施との調整
第89条手数料
第2款訂正
第90条訂正請求権
第91条訂正請求の手続
第92条保有個人情報の訂正義務
第93条訂正請求に対する措置
第94条訂正決定等の期限
第95条訂正決定等の期限の特例
第96条事案の移送
第97条保有個人情報の提供先への通知
第3款利用停止
第98条利用停止請求権
第99条利用停止請求の手続
第100条保有個人情報の利用停止義務
第101条利用停止請求に対する措置
第102条利用停止決定等の期限
第103条利用停止決定等の期限の特例
第4款審査請求
第104条審理員による審理手続に関する規定の適用除外等
第105条審査会への諮問
第106条地方公共団体の機関等における審理員による審理手続に関する規定の適用除外等
第107条第三者からの審査請求を棄却する場合等における手続等
第5款条例との関係
第108条
第5節行政機関等匿名加工情報の提供等
第109条行政機関等匿名加工情報の作成及び提供等
第110条提案の募集に関する事項の個人情報ファイル簿への記載
第111条提案の募集
第112条行政機関等匿名加工情報をその用に供して行う事業に関する提案
第113条欠格事由
第114条提案の審査等
第115条行政機関等匿名加工情報の利用に関する契約の締結
第116条行政機関等匿名加工情報の作成等
第117条行政機関等匿名加工情報に関する事項の個人情報ファイル簿への記載
第118条作成された行政機関等匿名加工情報をその用に供して行う事業に関する提案等
第119条手数料
第120条行政機関等匿名加工情報の利用に関する契約の解除
第121条識別行為の禁止等
第122条従事者の義務
第123条匿名加工情報の取扱いに係る義務
第6節雑則
第124条適用除外等
第125条適用の特例
第126条権限又は事務の委任
第127条開示請求等をしようとする者に対する情報の提供等
第128条行政機関等における個人情報等の取扱いに関する苦情処理
第129条地方公共団体に置く審議会等への諮問
第6章個人情報保護委員会
第1節設置等
第130条設置
第131条任務
第132条所掌事務
第133条職権行使の独立性
第134条組織等
第135条任期等
第136条身分保障
第137条罷免
第138条委員長
第139条会議
第140条専門委員
第141条事務局
第142条政治運動等の禁止
第143条秘密保持義務
第144条給与
第145条規則の制定
第2節監督及び監視
第1款個人情報取扱事業者等の監督
第146条報告及び立入検査
第147条指導及び助言
第148条勧告及び命令
第149条委員会の権限の行使の制限
第150条権限の委任
第151条事業所管大臣の請求
第152条事業所管大臣
第2款認定個人情報保護団体の監督
第153条報告の徴収
第154条命令
第155条認定の取消し
第3款行政機関等の監視
第156条資料の提出の要求及び実地調査
第157条指導及び助言
第158条勧告
第159条勧告に基づいてとった措置についての報告の要求
第160条委員会の権限の行使の制限
第3節送達
第161条送達すべき書類
第162条送達に関する民事訴訟法の準用
第163条公示送達
第164条電子情報処理組織の使用
第4節雑則
第165条施行の状況の公表
第166条地方公共団体による必要な情報の提供等の求め
第167条条例を定めたときの届出
第168条国会に対する報告
第169条案内所の整備
第170条地方公共団体が処理する事務
第7章雑則
第171条適用範囲
第172条外国執行当局への情報提供
第173条国際約束の誠実な履行等
第174条連絡及び協力
第175条政令への委任
第8章罰則
第176条
第177条
第178条
第179条
第180条
第181条
第182条
第183条
第184条
第185条

別表第一
別表第二
改正附則
令和二年法律第四十四号
令和三年法律第三十七号

Follow me!