1.スポーツコンプライアンスと倫理 真のスポーツマンシップでは、弱点攻撃できるか。

(1)スポーツコンプライアンスとは何か

スポーツコンプライアンスとは、スポーツを行う人や運営組織などが、社会のルールである法令や倫理規範などを遵守することによって社会的な信頼に応えることである。

この社会的信頼とは、具体的にはそのスポーツのスポンサーやファン等のステークホルダー(利害関係者)の信頼のことである。

もちろん、ステークホルダーには、ほかの分野のコンプライアンス と同じように「マスコミ」、「組織内職員」も含むであろう。

まt、近年はスポーツ界におけるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント等が大きく報道されるようになってきた。中には、最も卑劣な「権力を利用した虐待」ともいわれるものも明るみに出てきた。組織や監督コーチは、ステークホルダーである選手からの本当の信頼を得られなくてどこが指導者であろうか。事例は別稿参照。

(2)企業や役所と違う職業倫理

ところで、企業が利益を追求することがなんらコンプライアンスの内容である倫理に反せずそこで要請されるのは社会的な倫理に反する不祥事等を起こさないで利益追求すべきで、 この場合には、利益追求と社会的規範とでは、後者の優越が絶対的であるといえるのであるが、

スポーツにおいては社会で禁止される暴力を当該スポーツ内ルールの下で認めることに大きな違いがあり、 他のコンプライアンス概念と大きな違いあることにまず留意する必要があろう。

2.相手選手の弱点、怪我した部分も攻撃していいのか

(1)勝利至上主義の考え方でいいのか

そのうえで、第一に議論すべきことは、「勝つためであれば、相手の弱点を攻めていいのか」といった基本的な論点があろう。

多数の考えは、それはスポーツが勝利を目指すことに本質的な内在性があり、 武道やフットボール等の接触競技おいては特にそうであろうが相手の弱点を攻めるのがいわば共通認識としてあるといいであろう。

障碍者等弱者に対する合理的配慮をすべきといった社会的規範はここでは とられないのであろう。

この点が、スポーツを嫌いな方は受け入れられない点がある一つの本質的なスポーツの特徴であろう。

(2)勝利と倫理の拮抗

しかし、スポーツがそのようなものであるにもかかわらず、相手の弱点を攻めないといった勘違いの「正々堂々」はナンセンスであるが、

けがをしてしまった相撲の相手のその個所を攻める 相撲取りはどこまでもスポーツ競技者として正しいかというと限界があろう。

この点も大きな勘違いをしている場合があるので留意する必要があろう。

いわゆる、「スポーツマンシップ」とは、ここで挙げた内容を含むスポーツにおける倫理としてとらえることができよう。