1.豊田自動織機の法規違反と不正等のコンプライアンス違反の公表・記者会見
(1)初期対応
フォークリフト用のエンジンについて、経年劣化による排出ガス国内規制値の超過と、排出ガス国内認証に関する法規違反の可能性をホームページで公表し併せて大西朗社長が記者会見を行った。特別調査委員会の設置(日比谷パークの松山弁護士など参加)や社長等の給与の返上なども含めて自社の対応として、ディーゼルエンジン2機種とガソリンエンジン1機種の計3機種を搭載するフォークリフトの出荷停止を決定し、国土交通省、環境省、経済産業省にも報告した。同社HPより一部引用し、各省の対応は後掲参照。
(2)不正事実
フォークリフト用ディーゼルエンジンでは、①排出ガスの成分の実測値を使用せずに推定値を使用した・試験中に排出ガス中のPM値が高くなったため、燃料噴射装置の改良を行い、その後試験をやり直さず、改良品を装着した場合の推定値を試験結果とした。②試験の運転モードをエンジン側の制御ソフト変更により成立させた・本来、設備(試験ベンチ)側にて、試験で求められるエンジン運転条件を成立させるべきところを、設備の仕様上それが困難であったため、エンジン側の制御ソフトの一部を変更して試験を行った(建設機械用ディーゼルエンジンでも同行為を確認)。(
フォークリフト用ガソリンエンジンでは、①試験中に部品の交換を行った・試験中に排出ガス中のNOx値が高くなったことから、O2センサ(燃焼状態を測定するセンサ)の影響を確認するため、一時的に仕様の異なるO2センサを使用してNOx値を測定し、試験を継続した。②排出ガス成分の実測値をそのまま使用しなかった・一部の測定値を異常値としてそのまま使用せず、同型エンジンの別の耐久試験の測定値を試験結果とした。
2.豊田自動織機の不正報告への経済産業省の対応
株式会社豊田自動織機より、フォークリフト等用のエンジン4機種について、型式指定申請時に不適切行為があり、うち2機種は排出ガス基準を満たしていない旨の報告を受けました。
このような事態は、ユーザーの信頼を損なうものであり、大変遺憾です。
これを踏まえ、経済産業省は、同社に対し、
①事実関係の究明、
②顧客・取引先への適切な対応、
③十分な対外説明、
④原因の徹底究明・再発防止策の実施
を指示し、事実関係については速やかに報告するよう求めました。(同省HP参照)
3.豊田自動織機の不正報告への国土交通省の対応
豊田自動織機より、フォークリフト等の産業機械用の現行エンジン4機種について、型式指定申請時に不適切行為があり、うち2機種は排出ガス基準を満たしていない旨の報告を受けました。
このような事態は、自動車ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、極めて遺憾です。
国土交通省としては、豊田自動織機に対して、事実関係の詳細な調査及び再発防止策の検討を実施し、速やかに報告するよう指示しました。
具体的には、
・過去のエンジンを含めた事案の全容の解明と再発防止策を策定すること
・リコールの必要なものは速やかに実施すること
・ユーザーへの丁寧な説明や対応に努めること
国土交通省は、引き続き、同社を指導し、環境性能の確保と再発防止の徹底について、厳正に対処して参ります。(同省HP参照)
4.コンプライアンス違反行為として対応をすべき豊田自動織機の不正
公表や報道資料などには、「コンプライアンス」の文言はない。分析概念として使った方がいいのではないか。コンプライアンス違反への対応は、これまでの議論の蓄積があるのではないか。コーポレートガバナンス、内部統制、3ライン、リスクマネジメントそして企業倫理等の観点から自社の違反行為を分析して、コンプライアンス違反行為の再発防止をしないと再度発生する。以下の動画でポイントも述べた。特別調査委員会の報告書を見て再度述べたい。