はじめに:金融機関のコンプライアンス態勢研修で効果の出る方法

金融機関の不祥事が報道されると、世間の人は、少なくとも2つの点で大きく驚く。

まず第1は、その額の大きさである。公務員であれば、10万円とかの事件も立場上、報道されるので、なおさらその数千万円、数億円…といった額に愕然とする。庶民には縁のない額である。

もうひとつ感慨深く感ずるのは、「人の金を預かる仕事なのに」どうなっているのかという嘆きである。仕事をやる資格なぞないと思うであろう。汗水流して働いた結果給料をもらっているとはとても思えないからである。

これらの諸点を十分に織り込んだコンプライアンス研修でなければ法令解説を受けてもコンプライアンス研修としての意味はなかろう。

以下の諸点を研修で内容として取り入れるにしても一般人の感覚で信頼を考えることがなければ衰退は避けられない。

研修内容を以下に示そう。

Ⅰ コンプライアンス態勢と今日的課題…

1.コンプライアンス態勢の確立の今日的課題

2.金融機関とコンプライアンス

「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」等

3.当該金融機関のコンプライアンス態勢チェック

・指針、方針、マニュアルのおさらい

・内部体制等のおさらい

※コンプライアンスのポイント演習問題実施(講義を踏まえて確認する)

4、最近の銀行不祥事例

約10類型にまとめる。リスク管理をしやすくるために。

Ⅱ 支店の営業現場で適切対応が求められるコンプライアンス事例

1.内部者による横領

2.非正規の金銭の流れとそのプール

3.反社会的勢力ヘの対応

4.取引先や地域との関係

5.情報セキュリティー

6.営業店での顧客対応

7.リテール営業

8.企業融資部門における顧客ビジネス

9.システム統合のトラブル

10 パワハラなどの個別具体的事例対応

(1) パワハラ(立場を利用した激励と言語的暴力の限界)

(2) セクハラ ~「対価型」職場、「環境型」職場

(3) クレーム発生(事例の提起と対処方法のセッション)

(4) 不正請求(取引先の接待、接待費の請求)

(5)個人情報保護法違反(企業の個人情報安全管理義務に対する世間の厳しい目)

11.利益相反行為

Ⅲ コンプライアンス違反の事例研究

1. 最近起こった信用金庫の不祥事例の研究

・誰が、なぜ、何を、どのタイミングで、どのようにしたことが問題に繋がったのか

・「こうすれば未然に防げた」策を考案する

2.コンプライアンスを妨げるものへの挑戦

・「昔からのやり方」「何となくという習慣」「職場に根付く風習」などの撤廃

・業務革新のリーダーとして、求められる積極的な発言と行動

Ⅳ コンプライアンス徹底のためのチェックリスト作成

1.チェックリストの項目解説

2.金融機関に求められるチェック項目

※コンプライアンスのポイント演習問題実施(講義を踏まえて確認する)

※「銀行不祥事とは何か。」については、このサイトの別稿参照

(銀行法53条1項8号、銀行法施行規則35条7項)