企業倫理はコンプライアンスの両輪の一つ

1.企業倫理とは

企業倫理 (business ethics) とは、企業活動における組織全体の倫理のことを指す。

広い意味では、社員や従業員等の組織メンバーの個人的な「職業倫理」も含む。

倫理は人間関係、社会関係の秩序であり、正直さ・誠実さ・真面目さ・思いやり・優しさ・謙虚さ等が含まれることは論を待たない。

なぜこれが求められるかと言うと

企業の行動は投資家、消費者に大きな影響を与え、あるいは社会や環境に深刻な被害を与えるものだからである。

高度文明社会で、著しく発達した資本主義経済の下では特に社会や経済に足す影響は大きく、しばしば大資本で企業が活動すればなおさらのこと、企業の行動は常に高い倫理性が必要とされる。

2.企業倫理は、企業のリスク管理と並ぶコンプライアンスの両輪

企業経営の継続的発展のためには、組織がステークホルダーの信頼にこたえることによって社会の要請にこたえていくことが求められるが、そのために組織の業務の効率性や会計報告の正確性と並んでコンプライアンス経営が必要であろう。

コンプライアンスは、法令遵守から始まって、その内容に社会倫理も含む、社会ルールの遵守と今日考えられる。

倫理の高い企業は信頼を市場から受けることに異論はなかろう。

そして、これはリスクマネジメントマネジメントによる業務等リスク管理と相まって市場の信頼を得るので、コンプライアンスは、リスク管理と企業倫理を両輪とすると考えていいであろう。

たとえ、利害対立や訴訟にまで発展することがあっても、ルールを守ってフェアな戦いをする企業は、結局市場から信頼される。

たとえば、日本経団連でも「企業倫理徹底のお願い」を毎年のようにこの10年間発している。

⇒ http://www.keidanren.or.jp/announce/2016/0920.html

3.企業倫理の経営への影響の大きさ

企業倫理の表れは具体的には、「社是・社訓 」や「 社風 」となって企業文化を形成する。

内部統制(COSO)で、統制環境に当たるものである。

また、 企業会計、 製品、 マーケティング、 知的財産権、 情報通信、投資家、 環境、 人材育成、 国際的な企業活動等においてそれぞれ具体的な企業倫理が求められる。

4.企業倫理と個人倫理等との違い

個人倫理では、当然要請されることが、企業倫理では逆に否定されることもある。価値の衝突があり得るのである。

「お互いに物事は話し合ってやりましょう」と「入札における談合罪」もそうである。

また、内部通報制度を作った時に、目上の人や年長者に対しては、批判などは個人的倫理ではよくないと考える場合があろうが、企業倫理は組織のための倫理なのでそれはむしろしなければいけない場合があろう。

(内部通報と価値の衝突については、別稿参照)

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